公開日:2020.02.27

遺留分侵害額請求と民法改正

1.遺留分と民法改正

1-1.遺留分とは

遺留分という制度があります。
遺留分とは、相続人(ただし被相続人の兄弟姉妹を除く)の権利で、被相続人の配偶者と子供は法定相続分の1/2まで、父母は法定相続分の1/3までは遺言などでも侵すことのできない財産を取得する権利のことです。

【事例】相続人(子供A Bの2人)の場合に遺言で子供Aにすべての財産を相続させる遺言があった。

遺留分の侵害額請求・・・【事例】遺言ではすべての財産をAに相続させるとしていますが、Bは法定相続分1/2の1/2=1/4の財産を請求できる権利のことを言います。この遺留分の侵害額請求の方法に改正(民法1046条)がありました。

1-2.遺留分に関する民法改正

  1. ①遺留分に関する権利の行使によって遺留分侵害額に相当する金銭債権が生ずることにする。(遺留分侵害額請求の金銭化)
    ②遺留分権利者から金銭請求を受けた受遺者又は受贈者が,金銭を直ちには準備できない場合には,受遺者等は,裁判所に対し,金銭債務の全部又は一部の支払につき期限の許与を求めることができる。
  2. 遺留分や遺留分侵害額を求める計算式を明文化。また,相続人への贈与について,相続開始前の 10 年間にされたものに限り,遺留分算定のための財産の価額に算入する(遺留分の算定方法の見直し)。
    令和元年7月1日施行

2.遺留分侵害額請求の金銭化

【事例】で相続財産が不動産8000万円だけとした場合、旧民法では不動産の1/4部分=2000万円分をBが減殺請求できるものの、この不動産をAが事業用に100%利用していた場合には、BはAに賃料を請求するか、売却を検討するなどBの権利は大きく損なわれることになります。

この遺留分権2000万円を金銭で支払えと要求できることになったのが今回の民法改正です。金銭で確保できるならBの権利は満たされているといえます。

このため、遺留分を侵害する遺言書の作成は大きなリスクが生じることになります。金銭での遺留分の支払いを念頭に置いた遺言書の作成、あるいは金銭の準備が求められるからです。

3.遺留分の算定方法の見直し

次に、遺留分を算定する財産の価額に10年以前に贈与された財産は含めないこととなりました。旧民法では生前に贈与された財産についてもすべて遺留分の算定根拠としていましたが、今回10年以内の贈与に限ることとなったのです。

【遺留分を算定するための財産の価額を求める計算式(第1043条第1項,第1044条関係)】

遺留分を算定するための財産の価額 =(相続時における被相続人の積極財産の額)+(相続人に対する生前贈与の額(原則10年以内))+(第三者に対する生前贈与の額(原則1年以内))-(被相続人の債務の額)

旧民法と改正民法の比較

【事例】で財産の8000万円がすべて15年前にAに贈与された財産であり、相続時の財産が皆無であった場合を想定してみますと

旧民法では相続人のBは8000万円の1/4を遺留分として取得することができます。

民法改正①・・・遺留分侵害額請求の金銭化
相続人のBは遺留分権を金銭によって取得することができます。

民法改正②・・・遺留分を算定するための財産の価額を求める計算式10年以内化

この8000万円の不動産は10年以上前の贈与(相続開始前15年前)であるため遺留分侵害額請求の計算に含めません。この結果、Bの相続分は“0”となりAが15年前に贈与により取得した不動産をそのままAが取得することになります。

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