公開日:2021.04.28

法定相続情報証明制度はどうやって使う?メリット・デメリットは?

法定相続情報証明制度は2017年に新設されたまだ新しい制度です。

意外と大変な相続手続きの必要書類の収集に焦点が当てられた制度で、これを利用することで書類収集の手間がグンと楽になります。

相続後に相続人がやらなければならないことは山積みです。このような制度は積極的に利用していただき、少しでも負担を減らしていただければと思います。

今回は、法定相続情報証明制度について詳しくご紹介してまいります。

1.法定相続情報証明制度の基礎

それではまず、法定相続情報証明制度とはどんなものなのかからご紹介いたします。

1-1.法定相続情報証明制度とは

相続が発生すると相続人には相続手続きが待っています。相続手続きと一口に言っても、単純に何かの届け出1つを出せばよいといったものではありません。

相続手続きには被相続人の死亡届から、年金の受給停止、健康保険の喪失届などの届け出関係、相続した各種財産を正式に相続人の所有物にするために行う名義変更などまで様々なものがあります。

相続登記や銀行での名義変更などには、相続情報を確認するために戸籍謄本など多くの書類が必要になりますが、相続人は名義変更を行いたい先ごとに書類を収集しなければならず、多大な労力を要しています。

そこで、これらの煩雑な相続手続きを簡便化するために2017529日に開始されたのが、この法定相続情報証明制度です。

戸籍謄本などの必要書類を一度だけ収集し法務局に提出しますと、法定相続情報一覧図が発行されます。

これは相続関係を証明できる書類になりますので、相続手続きの際には大量の戸籍謄本に代えてこれを1枚提出するのみで済み、何度も戸籍謄本を集める必要がなくなります。

1-2.法定相続情報証明制度が作られた背景と目的

わが国では、相続した不動産の相続登記がされていないケースが数多く存在しており、所有者不明の土地や空き家問題の一因となっています。相続は日々発生していますので、相続登記未了は先延ばしにできない大きな問題です。

そこで煩わしい書類収集のストレスを解消し、相続手続きを促進する目的で、法定相続情報証明制度が設けられました。

また関係各所で人手不足が叫ばれている現代ですので、相続手続き担当部署の負担軽減も目的とされています。

1-3.利用できる手続き

  • 不動産・自動車などの名義変更
  • 預貯金口座の名義変更・解約
  • 保険金請求、保険名義変更
  • 株式、有価証券の名義変更・解約
  • 投資信託の名義変更・解約
  • 相続税申告
    など

ただし、まだ新しい制度になりますので、一部の金融機関では対応しておらず利用できない場合があります。事前に確認してください。

2.法定相続情報証明制度の利用方法

次に、法定相続情報証明制度の利用方法を具体的にご紹介させていただきます。

といっても、従来通りに書類収集していただき、法務局に持っていくだけという単純な利用方法ですのでご安心ください。

2-1.必要書類の収集

まずは必要書類を集めるところから始まります。必ず用意する書類は次の通りです。

  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
  • 被相続人の住民票の除票
  • 相続人全員の戸籍謄本または抄本
  • 申出人(相続人の代表として申請する人)の本人確認書類(マイナンバーカードのコピー、運転免許証のコピー、住民票記載事項証明書など)

こちらのチェックリストをご利用いただくと良いかと思います。

【出典サイト】法定相続情報証明制度の具体的な手続について「STEP1 必要書類の収集」|法務局

2-2.法定相続人・代理人による申出

必要書類が集まりましたら、次に、法務局に提出する次の書類を作成します。具体的な記載方法は3.法定相続情報一覧図の作成方法」でご紹介させていただきます。

  • 申出書
  • 法定相続情報一覧図

委任による代理人が手続きを行う場合には、さらに次の書類が必要になります。

  • 委任状
  • 申請人と代理人の親族関係が分かる戸籍謄本(親族が代理人になる場合)
  • 資格者代理人団体所定の身分証明書(申請の代理を業とすることができる司法書士などが代理人になる場合)

提出先の法務局は、次のいずれかの法務局になります。

  • 被相続人の死亡時の本籍地
  • 被相続人の最後の住所地
  • 申出人(申請する人)の住所地
  • 被相続人名義の不動産の所在地

提出方法は、上記の法務局に持参する他にも、郵送により提出することもできます。重要な書類ですので、普通郵便ではなく内容証明郵便などで送付してください。

2-3.確認・法定相続情報一覧図の写しの交付

書類一式を提出しますと、登記官が内容を確認し、法定相続情報一覧図について正しいものとして証明され、保管されます。

認証文付き法定相続情報一覧図の写しの交付は即時には行われず、提出してから1週間から10日程度かかります。戸籍謄本などの収集から合わせますと、法定相続情報一覧図を取得するまでには1ヶ月程度かかります。期限がある相続手続きに利用される場合には、余裕をもって申し出をしてください。

申し出の際に添付した戸籍謄本などの書類は、内容確認の後、交付の際に返却されます。

法定相続情報一覧図の取得を郵送によりたい場合には、申出書の「必要な写しの通数・交付方法」の郵送の□にを記入し、返信用郵便切手を貼った封筒も提出されてください。

3.法定相続情報一覧図と申出書の作成方法

それでは、法定相続情報一覧図と申出書の作成方法をご紹介させていただきます。

3-1.法定相続情報一覧図の書き方

戸籍謄本などの必要書類を提出したら、あとは法務局が法定相続情報一覧図を作成してくれるものと思われるかもしれませんが、そのベースになる図は申出人である相続人が作成しなければなりません。

様式や書き方は相続人の状況に応じて準備されています。こちらよりダウンロードしてください。

【出典サイト】主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例|法務局

3-2.法定相続情報一覧図作成の際の留意点

作成される際には、次の点にご留意ください。

相続人の住所の記載は任意

相続人の住所は、記載してもしなくてもかまいません。

ただし、住所の記載がある法定相続情報一覧図を利用する場合には、相続人の住所を証明するための住民票の写しなどが不要になる手続きがあります。記載した方がさらに便利な法定相続情報一覧図になりますので、特段のご事情がある場合を除いては記載された方が良いかと思います。

相続放棄、相続欠格の相続人も氏名・生年月日・続柄を記載

相続放棄、相続欠格の人は相続できませんが、いずれも戸籍へは記載されず、他の相続人とは区別されませんので、法定相続情報一覧図にも他の相続人と同様に記載されます。

廃除された相続人は記載しない

相続廃除は相続放棄と相続欠格とは異なり、戸籍に記載されますので相続できないことが明らかになりますので、法定相続情報一覧図にも記載しません。

3-3.申出書の書き方

申出書の様式は、シンプルで記入しやすいかと思います。

様式はこちらよりダウンロードできます。

【参考サイト】法定相続情報証明制度の具体的な手続について|法務局

4.法定相続情報証明制度のメリット・デメリット

最後に、法定相続情報証明制度のメリットとデメリットをご紹介させていただきます。

と申しましても、デメリットはほぼありません。これからもっとメジャーな制度になっていくかと思います。

4-1.法定相続情報証明制度のメリット

法定相続情報証明制度の利用は無料

法定相続情報証明制度は利用料がかかりません。法定相続情報一覧図発行に際しましても、法務局に発行手数料を支払う必要はありません。申請の際に提出した戸籍謄本なども返却されます。

戸籍謄本などを何枚も取得しなくてよくなりますので、費用を抑えることができます。

無料ですので複数枚多めに交付を受けておかれると良いかと思います。

5年以内であれば何度も再発行可能

5年間であれば何度でも再発行することができます。

数年後に相続手続きの漏れがあって、急遽必要になったとしてもすぐ手に入れることができます。もちろん発行手数料も不要です。

再発行の際には、「再交付申出人の本人確認書類」と「法定相続情報一覧図の再交付の申出書」を、原則として当初申し出をした法務局へ提出します。

【出典サイト】法定相続情報証明制度の具体的な手続について|法務局

登記官の確認と時短

登記官が戸籍の内容確認を行いますので、確実な確認と時間短縮ができます。

郵送での申請・交付が可能

法務局への申請や法定相続情報一覧図の交付は郵送によることもできます。

再交付の場合には、再交付申出書の該当欄にその旨を記入し、返信用封筒と郵便切手を同封してください。

代理申請が可能

代理申請が可能です。

戸籍収集から専門家に依頼することもできますので、高齢で外出することが困難な方、相続トラブルで相続人同士で連絡が取りにくい場合などに便利です。

税理士や司法書士などの専門家に依頼した場合の報酬相場は、戸籍謄本などの取得を含めて3万円程度です。相続登記や預貯金口座の相続手続きなどと合わせて依頼される場合には、割引がある専門家が多いようです。

4-2.法定相続情報証明制度のデメリット

一部の機関は未対応

一部の銀行などでは法定相続情報証明制度へ対応しておらず、従前の戸籍謄本などの束が必要になる場合があります。

現状では、法定相続情報一覧図がありさえすれば、すべての相続手続きができるわけではありません。

必要書類の収集が一度は必要

制度を利用するためにはまず、ベースとなる必要書類の収集が必要です。

何もないところから法定相続情報一覧図は作成できませんので、これは仕方ない段階かと思いますし、制度を利用しない場合であっても相続手続きに必要書類は必須ですので、制度を利用するからといって新たに取得しなければならないというわけではありません。

相続手続きが1か所だけの場合には、あまりメリットはないということになります。

再発行は申出人のみ可能

再発行手続きは、申し出をした「申出人」しかできません。

まとめ

法定相続情報証明制度は、相続手続きの書類収集の手間を1回にできる便利な制度です。

制度が作られた背景からも、とにかく申請や交付に手間がないように、費用が掛からないようにされていますので、相続手続きが多くて面倒に思われている方、相続人が多い場合には特にご利用いただきたい制度です。

20175月のスタート後、201841日からは利用範囲拡大のため取扱いが変更され、法定相続情報一覧図の写しを相続税申告書の添付書類として利用することができるようにもなりました。

今後もさらに改善され、相続手続きがワンクリックで済む時代が来ることを期待しましょう。

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