遺言書の効力を認められるにはどうすればいい?遺言事項などをご紹介

作成する方も年々増えている遺言書ですが、記したことすべてに効力はあるのでしょうか。

どのようなことを書いても相続人に効力が及ぶのか、効力に期限はあるのか、複数の遺言があった場合の効力など、今回は遺言書について多くの方が疑問に思われる細かい点をご紹介していきます。

遺言書に効力を持たせるために行っていただきたいことについても、ご紹介いたします。

1.遺言書の効力について知っておきたいこと

まず、遺言書の効力についてご紹介させていただくうえで、押さえておきたい基礎知識についてご紹介させていただきます。

1-1.遺言書の効力に期限はない

遺言書の効力に期限はありません。

何十年前に作成されたものであっても、それより新しい遺言書が作成されていない、または発見されなければ、その内容に従うことになります。

1-2.遺言書に書いたことすべてが効力を持つわけではない

遺言書は、書かれていることの一語一句、どのような事柄であってもすべてに効力があるというわけではありません。

遺言書に記載することによって、法的効力を持つ事項のことを「遺言事項」といい、民法などの法律によって限定されています。

遺言事項は次の4つに大別されます。それぞれに複数の事項があるのですが、分かりやすく代表例を挙げますと、次のような内容になります。

  • 相続財産に関する事項
    遺産をどのように分けてほしいのか など
  • 身分関係に関する事項
    隠し子を認知するのか など
  • 遺言執行に関する事項
    遺言執行者を誰にするのか など
  • その他の遺言事項
    祭祀継承者(お墓を引き継ぐ者)の指定 など

詳しくは、次項以降で、「その他の遺言事項」以外について、主なものをそれぞれご紹介させていただきます。

1-3.遺言書でも侵せない相続人の権利遺留分がある

相続は、相続人のその後の生活を守るためのものでもありますので、被相続人の兄弟姉妹以外の相続人には、遺留分という最低限の遺産を必ず相続することができる絶対的な権利があります。この権利を遺留分減殺請求権といいます。

これを遺言書によって侵された場合には、過大に相続した相続人に対して遺留分侵害額請求を行い、支払いを受けることができます。

例えば、孫に相続財産のすべてを相続させるというような偏った内容の遺言書であれば、他の相続人は遺留分を侵害されていることになりますので、孫へ遺留分侵害額請求を行うことができます。

請求する負担や請求される負担を与えることがないように、遺留分に配慮した遺言書を作成するようにしてください。

なお、遺留分について詳しくは、こちらをご覧ください。

【関連記事】遺留分侵害額請求と民法改正

2.相続財産についての遺言書の効力

では、遺言書が相続財産に対してどのような効力を発揮できるのか、ご紹介いたします。

2-1.遺産分割の方法の指定

遺産分割について、特定の相続人に特定の財産を継がせたい場合などには、遺言書にその旨を記載することで、その通りに遺産分割してもらうことができます。

遺言書によって相続人の取り分を自由に設定することが可能になりますが、先ほどご紹介させていただきました、遺留分への配慮が必要となります。

2-2.遺産分割の禁止

遺言書によって遺産分割を5年間禁止することができます。

遺産分割を禁止する理由としましては、被相続人の未成年の孫が代襲相続人になる場合に成人するまで遺産分割を保留させたい、相続開始後すぐの遺産分割協議では相続人同士が揉めてしまう可能性があるためなどが挙げられます。

2-3.遺贈

相続により財産を受け取れる人は法定相続人に限られていますが、遺言書によって法定相続人以外の人に財産を遺すことができます。

例えば、孫や内縁の妻など法定相続人以外に財産を遺したい場合に、遺言書にその旨の記載があれば、遺贈によって相続財産を譲り渡すことができます。

2-4.相続人相互の担保責任の指定

ある相続人が取得した相続財産に欠陥があり価値が低かった場合には、他の相続人に比べて損をすることになってしまい、相続が不公平なものになります。

そこで、問題があった財産を承継した相続人が他の共同相続人に対して、問題の程度に応じた損害賠償を求めることができるようになっており、求められた共同相続人はそれぞれの相続分に応じて責任を負わなければなりません。これを相続人相互の担保責任といいます。

遺言書ではこの各共同相続人の担保責任についても指定することができます。

例えば、経済力のない相続人についてまで相続分による担保責任を負わせないために、担保責任の免除や減免をするというようなことができるのです。

ただし、この場合も、あまり極端な担保責任の指定を行ってしまうと、他の相続人の遺留分を侵害してしまい、遺留分侵害額請求の可能性が出てきてしまいます。

3. 身分関係についての遺言書の効力

次に、身分関係についてのご紹介です。

3-1.相続人の廃除

廃除とは、相続人から虐待を受けるなどの著しい非行を受けた場合に、被相続人が家庭裁判所に請求してその相続人の地位を奪うことをいいます。排除を受けてしまうと、財産を相続することができなくなります。

相続人の廃除は、被相続人が生前に家庭裁判所で手続きを行う、または被相続人が遺言書に廃除の旨を記載し、遺言執行者が家庭裁判所で手続きを行うことで実行することができます。

3-2.未婚の子供の認知

被相続人に隠し子などの認知していない子がいる場合には、遺言書で認知することができます。

生前では認知することが難しい、けれども相続人にはしてあげたいという場合には、遺言書に認知する旨を記載することで可能になります。

ただし、突然の隠し子の出現は相続争いを生む典型的な事例ですので、事前の対策は重要になります。

4. 遺言執行のための効力

次に、遺言書の内容を実行していくための効力についてご紹介します。

4-1.遺言執行者の指名

遺言執行者とは遺言の内容を実行する人です。必ずしも選任しなければならないわけではありませんが、先ほどの廃除や認知を遺言書で行う場合には必要になります。

遺言執行者には、未成年者と破産者以外の人であれば基本的に誰でもなることができますので、信頼できる人を指定してください。弁護士などに依頼するとなお安心かと思います。

4-2.未成年後見人の指定

未成年後見人とは、未成年者が成年になるまで親権者と同じ権利や義務を持ち、未成年者の身上監護と財産管理を行う人のことをいいます。簡単に申し上げますと、「親代わり」になる人です。

被相続人に、自分が死亡してしまうと親権者がいなくなってしまう未成年の子がいる場合には、遺言書で未成年後見人を指定することができます。

5.遺言書の効力を保持するために

遺言書には多くの効力があることをご紹介してまいりました。

最後に、その効力を保持した遺言書を作成するためのポイントをご紹介いたします。

5-1.法定の形式を守る

遺言書は効力を持たせるため法律で定められた形式があり、その形式を満たしていなければ遺言書としての効力が生じません。

遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があり、それぞれで法定の形式が異なります。

自筆証書遺言

自筆証書遺言は3つの中で最も自由に作成することができる遺言書ですが、次の形式を押さえて作成しなければなりません。

  • 書面で作成する
  • 遺言書の作成年月日を自筆で記入
  • 遺言者の氏名を自筆で記入
  • 全文自筆で記入(財産目録のみ自書でなくても大丈夫です。)
  • 押印(実印に限らず認印でも大丈夫です。)

ご自身の手書きで、押印さえすれば、いつでも自由に作成することができるのが自筆証書遺言のメリットですが、その分、上記の形式を満たしていないがために無効になる遺言書も、この自筆証書遺言のケースがほとんどです。

また、訂正方法も法律で定められており、間違った方法で訂正すると、訂正した箇所に効力が生じなくなってしまいます

無効になる例

  • 全部・一部がパソコンなどの印字で作成されている
  • レコーダーなどの音声やビデオ動画で遺されている
  • 作成年月日や氏名が抜けているなど

公正証書遺言

公正証書遺言とは、公証人に遺言内容を伝えて、それを元に公証人が作成する遺言書です。公務員である公証人が職務として作成しますので、形式が揃っていないという理由で無効になることは、ほとんどあり得ません。

秘密証書遺言

秘密証書遺言とは、遺言書を封筒に入れて封印し、公証人に本人の遺言書であることを証明してもらう遺言書です。ただし、公証人は、遺言書の内容については、関与しません。

公証人に証明してもらう点が重要な遺言書になりますので、作成する際の形式は緩いのが特徴です。

  • 遺言内容を作成(自筆に限らず、パソコンや代筆でも大丈夫です。)
  • 遺言書に署名と押印
  • 遺言書を封筒に入れて封をする
  • 封筒に封印(遺言内容に押印したものと同じものを使用します。)

無効になる例

  • 署名や押印が抜けている
  • 封印の印章が遺言書の押印と異なっている
    など

5-2.検認がなくても遺言書の効力には影響しない

遺言書が自筆証書遺言または秘密証書遺言である場合には、家庭裁判所に提出して検認を受けなくてはなりません

検認が行われることによって、家庭裁判所が遺言書の状態を確認しますので、それ以降の遺言書の偽造や変造を防ぐことができます。

検認はあくまでも証拠保全の手続になりますので、検認がなくても遺言書の効力に影響はありませんし、検認があるからといって遺言書が有効になるわけでもありません。

5-3.認知症のケース

認知症を発症している方でも遺言書を作成することはできますが、作成時において遺言能力があったことが重要になります。

認知症だったから遺言書は無効だと争いが起きたとして、遺言能力があったことが証明できない場合には、その遺言書は無効になってしまう可能性が高くなります

そのような場合に備えて、遺言書作成時に医師の診断書を一緒に保管しておかれることをおすすめいたします。遺言書を作成される前に、まずかかりつけ医に相談してください。

5-4.遺言を撤回したい場合

遺言書はいつでも自由に撤回することができます。

複数の遺言書が発見された場合に、被相続人が遺言書の中で撤回の意思表示をしていなくても、前に書かれた遺言が後に書かれた遺言に抵触する部分は前に書かれた遺言が撤回されたものとみなされます

例えば、前に作成した公正証書遺言を自筆証書遺言や秘密証書遺言を新たに作成することで撤回するなど、法定の形式にかかわらず後に記した遺言書で前の遺言書を撤回することが可能です。

また、遺言者が遺言に書かれている財産を処分するなど、生前に遺言書の内容に抵触する行為を行った場合にも、撤回されたものとみなされます

5-5.付言事項の重要性

遺言書に遺言事項以外に記載されたことを「付言事項」といいます。

法的効力がありませんので記載しても意味がないと思われるかもしれませんが、家族への思い、特定の相続人の取り分を少なくした理由などを遺言書に記載することで、円満な相続へ導くことができるケースも多いのがこの付言事項です。

また残された家族にとって、亡くなった人からの手紙は大きな慰めや今後生きていくうえでの指針となることも多く、重要なものとなります。

まとめ

遺言書は誰でもいつでも作成することができますが、定められた形式があります。万が一、不備があった場合にはその効力を発揮することができません。

ご自身の意思を確実に伝えるためにも、遺言書の作成は弁護士などの専門家にご依頼いただくことをお勧めします。

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