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兄弟や姉妹の相続争いを避けるにはどうすればいい?

相続争いは、意外に身近で起こっています。特に、被相続人の兄弟や姉妹、子供達による相続が争いになると、その関係自体が悪化して、絶縁状態になってしまうこともあります。

円滑な相続を迎えていただくために、今回は兄弟や姉妹による相続争いの原因、その対策についてご紹介させていただきます。 

1.兄弟や姉妹間で相続争いの原因となるのは?

気心知れた兄弟や姉妹であるからこそ、どのような相続だと相続争いになりやすいのか、ご紹介させていただきます。

これらの原因を回避することが事前対策となります。

1-1.遺産の分配が公平でない

兄弟や姉妹で遺産が平等に分けられないと、「私の相続財産は、兄より少ない!」と相続争いに発展しやすくなります。

兄弟や姉妹の仲たがいによって、被相続人の法要に集まれない、死ぬまで口を利かないなど、相続争いがきっかけで仲の良かった兄弟姉妹が分裂してしまうことが実際にあるのです。

生前贈与

被相続人から特定の者だけが生前贈与を受けている場合も、相続争いの原因となり得ます。

贈与が相続開始前3年以内に行われていると、相続税の計算上で生前贈与加算の対象となり、兄弟姉妹に生前贈与の事実が明らかになってしまいます。

また生命保険金も、みなし相続財産として相続税の計算に含まれるため、特定の兄弟姉妹が受け取った保険金は明らかになります。

隠していたわけではなくても、そこで初めて事実を知る兄弟姉妹の印象は、決して良くはないでしょう。

寄与分

被相続人に対しての貢献が遺産の分割に反映されていないことも、相続争いの原因の一つとなり得ます。

被相続人の老後のお世話をしていたなどの貢献度を遺産分割に反映できるように、民法では寄与分という制度があります。

ただし、貢献度を数値化すことが難しい点や、兄弟姉妹の立場は基本的に平等である点などから寄与分が認められることは少ないのが実情です。寄与分を強く主張すると、話し合いで折り合いがつかなくなり、裁判所での調停や審判へ発展してしまいます。

1-2.不動産など遺産が分割し難い

相続財産が、現金預金であれば1円単位まで平等に分けることができますが、不動産を平等に分けるためには、売却して現金化するか、共有名義で登記するしか方法がありません。

売却しようにも希望する金額ですぐに売れる保障はなく、共有名義はその後の相続を考えるとできる限り避けるべきです。

また、相続人の1人と被相続人が同居していた自宅が相続財産となった場合には、そのままその相続人が自宅を相続することになりやすく、「1人だけが得をする」という結果になりかねません。

1-3.相続人同士で上手く話し合いができていない

被相続人と相続人間で相続の話を包み隠さず話していないケースでは、「遺産がもっとあるかもしれない」、「私の相続税が一番少ないのではないか」などと疑心暗鬼になってしまいます。

一度この状態に陥ってしまうと、互いに猜疑心が働き、うまく話し合いができなくなってしまいます。

1-4.兄弟の配偶者などが口を出す

兄弟姉妹同士だけの話し合いであれば、穏便に済んでいたことも、互いの配偶者が「あの不動産を貰いなさい」、「もっと現金を貰ってもよいはず」などと口を出すようなことがあると、話が厄介な方向へ進んでしまいます。

1-5.財産の使い込みが疑われる

被相続人の死亡後に、遺産である預金を兄弟姉妹の誰かが引き出していることはよくあります。

被相続人の口座から使途不明な預貯金が引き出されていたことが分かると、まずその口座を管理していた人が疑われるのは当然の流れです。

2.相続争いを避けるためにできることは?

それでは相続争いの原因を取り除くためには、何をしたら良いのでしょうか。ご紹介させていただきます。

2-1.遺言書・財産目録を作成する

遺言書の作成

遺言書は相続争いを避けるための最大の対策です。

遺言書がある相続では、原則としてその内容通りに遺産分割を進めることになりますので、受け取る相続人の側も、被相続人の意向だからと納得できることも多いのです。

また、遺産分割協議は相続争いに発展しなくても、大きな労力が必要になります。遺言書により遺産の分割を指定することで、相続人の負担も減らすことができます。

財産目録の作成

財産目録とは、被相続人自身が所有している財産を一覧にしたものです。

これを作成しておくと、相続人の財産調査の負担が軽くなり、相続開始後に知らなかった財産が見つかることがなくなり、相続争いを防ぐことができます。

2-2.生前贈与は不平等がないよう相談して行う

生前贈与は、平等に行うようにすると理想的です。

特定の者に贈与を行う場合には、事前に全員に相談して了承を得たうえで行うようにすると良いでしょう。

2-3.生命保険への加入で分け合うための資金を準備

兄弟間での公平を図るには、相続財産が多い者から相続財産が少ない者へ差額分の現金を支払うことが解決策となります。

そこで、多額の資金準備が問題となるのですが、生命保険金で解決することができます。

例えば、自宅以外に大きな遺産がない場合は、自宅を相続する者を受取人とする生命保険契約を結んでおきます。被相続人の死後には受取人へ生命保険金が支払われますので、それを資金として他の兄弟姉妹へ支払うことが可能になります。

2-4.生前からコミュニケーションしておく

いざというときに円滑な話し合いができるように、常日頃から意思疎通を取りやすい関係性を築いておくことが大切です。

特に被相続人の生前から、被相続人も交えて将来の相続の話をしておいてください。「生きているうちから縁起が悪い」と思われるかもしれませんが、ご家族がこれからも幸せに生活されていくために非常に大切なことかと思います。

遺言書の準備など具体的な話までできるように、生前に税理士や弁護士などの専門家に相談されることをお勧めいたします。

3.起きてしまった相続争いを解決する方法は?

どんなに気を付けていても起きるときには起きしまうのが相続争いです。

起こってしまったら早急に解決策を講じてください。相続争いは長引かせないことが大切です。

3-1.代償分割

代償分割とは、相続人のうちの1人または数人が遺産を現物で相続し、その代わりに、他の相続人に対して代償金やその他の財産を支払う遺産の分割方法です。

先ほど2-3.生命保険への加入で分け合うための資金を準備」でご紹介した方法が正に代償分割になります。

ただし、代償部分を超えた支払いがあった場合には、受取人は贈与税の課税対象になります。

3-2.相続分の譲渡

相続分の譲渡とは、自身の法定相続分を他人に譲り渡すことをいいます。相続分を譲渡するとその相続人は遺産相続権を失うことになり、相続争いの場から離れることができます。

相続分は有償でも譲渡することが可能で、相続争いから逃れつつ、財産を取得することもできます。

3-3.遺留分の放棄

被相続人の兄弟や姉妹には取れない方法ですが、相続争いの解決策の1つとしてご紹介させていただきたいのが遺留分の放棄です。

遺留分とは、被相続人の兄弟姉妹以外に相続人に認められる最低限の遺産の取得割合のことをいいます。例えば遺言書に、「○○にすべての遺産を相続させる」とあった場合であっても、他の相続人は遺留分に当たる遺産は受け取ることができます。

この遺留分を放棄することで相続争いを解決します。相続開始後の遺留分の放棄には特に手続きがなく、権利を主張しないことが放棄にあたります。

3-4.最終的には専門家に依頼する

上記の方法を検討したうえで、兄弟姉妹だけで解決できそうにない場合には、相続を専門としている弁護士などにご相談ください。

兄弟や姉妹は、遠慮のない言葉を放ってしまうこともあり、相続争いが高じると、収拾がつかなくなってしまいます。

しかし、話し合いに専門知識を持った第三者が入るだけで、冷静な対応が期待できるようになります。

それぞれの思いを汲み取ったうえで、法律に従ったベストな解決へ向かうことが期待できます。

相続争いについてのよくある質問(FAQ)

最後に、相続争いについてのよくある質問にお答えします。

相続争いを相談できる専門家は?

相続について相談できる専門家には、行政書士や司法書士、税理士、弁護士といった士業を挙げることができます。

しかし、相続が争いになった場合に相談すべきは、何といっても弁護士です。弁護士であれば、争いと化した交渉の場に依頼者の代理人として立つことができ、交渉が拗れて調停・裁判になった際にも、安心です。ただし、弁護士は、通常、相続税を申告することはできません。

相続争いが相続税申告に与えるデメリットは?

相続が争いとなっている場合には、遺産分割協議は困難だと思われます。協議がまとまらなければ、申し立てにより遺産分割調停や審判に移行しますが、申告期限に間に合わない可能性が高くなります。そうなると、特例や控除を使うことができず節税対策ができないまま、法定相続分で相続したものとして、期限内に一度申告することになります。加えて遺産分割が終わっていないため、高い税額のまま納税資金も自腹で用意しなければなりません(※)。

当事務所には、弁護士が常駐しているため、相続争いと相続税申告のいずれにも対応可能です。相続争いにならないためにも、一度当事務所にご相談ください。

※ 申告と同時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出し、一定期間内に遺産分割協議を終えることで、更正の請求ができ、特例や控除の適用を受け、払い過ぎた相続税は取り戻すことができます。

お気軽にお電話ください 0120-201-180

「あんしん相続」には、ご家族の協力、連携はもちろんですが、専門家のサポートも必要になってきます。

例えば、上記のような場合以外にも、下記のように税理士・弁護士・司法書士を含めた総合的なアドバイスが必要になるケースが少なくありません。

  • 遺言書の書き方がよくわからない
  • 遺産分割で揉めるのが不安
  • 遺言書の内容に納得がいかない
  • 相続手続きについてよくわからず困っている

弊所では税理士・社会保険労務士・行政書士・弁護士でUグループを形成しており、ワンストップで相続手続き全般についてご相談いただけます。

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