公開日:2019.12.06

相続から相続税申告までの手続きについてご紹介

身近な方が亡くなったときには、様々な相続手続きを行わなくてはなりません。中には期日があるものもあり、遅れてしまった場合には思わぬトラブルに発展してしまう可能性もあります。

今回は、相続発生から相続税申告期限までにやらなければならないことを、流れに沿ってご紹介いたします。

1.相続発生から申告までの流れ

相続が発生してから、相続税の申告を終えるまでの主な流れを一覧にしますと次のようになります。

手続き いつから 期限
死亡届の提出 死亡を知った日から 7日以内
その他各種届出 14日以内程度
遺言書の確認
相続人と相続財産の確認
相続放棄・限定承認の判断 相続の開始があったことを知った時から 3ヶ月以内
所得税準確定申告書の提出 相続の開始があったことを知った日の翌日から 4ヶ月以内
遺産分割協議
相続税申告書の作成 相続の開始があったことを知った日の翌日から 10ヶ月以内
申告書の提出と納税
相続登記
遺留分侵害額の請求 相続の開始及び遺留分を侵害する贈与
又は遺贈があったことを知った時から
1年

次項以降で、それぞれ詳しくご紹介していきます。

2. 3ヶ月以内にやること

この時期は葬儀や四十九日などもあり、多くの場合、相続後最も忙しい時期になります。

事前にやるべきことを把握されておくことが、漏れなく滞りなく行うポイントとなります。

2-1.死亡届の提出

人が亡くなった場合には、死亡を知った日から7日以内に死亡地、本籍地、住所地のいずれかの市区町村役場に死亡届を提出することが法律に定められています。

【出典サイト】法務省:死亡届

死亡届出書は、「死亡診断書」または「死体検案書」が同じ用紙にセットになっていますので、その部分については医師に記入してもらいます。

基本的に用紙は病院に置いてあり、医師が記入した状態のものをはじめから渡されますので、死亡後にわざわざ市区町村役場に用紙を受け取りに行く必要はありません。

そして受け取った死亡診断書(死体検案書)の死亡届の部分に記入押印して、市区町村役場に提出します。
死亡診断書と死亡検案書の違いは、簡単には自然死かそれ以外かです。

死亡診断書は医師が診療中で死因が明らかである場合、死亡検案書は死亡診断書の要件に当てはまらない場合のすべてで、事件や事故などで死亡した場合に行われる司法解剖、行政解剖、病理解剖なども含まれます。

2-2.その他各種届出

死亡届の他にも生前に関わられてきた様々な機関への届け出があります。

年金受給停止手続き

被相続人が年金受給者であった場合には、年金の振り込みを止める手続きを行わなくてはなりません。

厚生年金は死亡後10日以内に年金事務所にて、国民年金は死亡後14日以内に市区町村役場の国民年金課などの窓口にて行います。

社会保険の資格喪失届

被相続人が国民健康保険に加入していた場合には、死亡後14日以内に市区町村役場に国民健康保険資格喪失届(後期高齢者医療保険の場合には、後期高齢者医療資格喪失届)を提出します。

会社員で協会けんぽなどの健康保険の場合には、速やかに会社に通知します。通知を受けた会社は、死亡後5日以内に健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届を年金事務所に提出します。

死亡した人が要介護認定を受けていた場合には、死亡後14日以内に介護被保険者証を返還します。

公共料金やクレジットカードなどの変更・解約

金融機関が死亡を知ると、被相続人の口座は凍結されてしまいますので、公共料金やクレジットカードなどの引き落としができなくなります。
できるだけ速やかに、引き落とし口座の変更や解約をしてください。

2-3.遺言書の確認

遺言書の有無でその相続の方向性は大きく変わります。後から出てきた場合には、遺産分割協議や相続税申告書をやり直さなくてはならなくなりますので、確実な確認をしたいところです。

基本的に遺言書がある場合には、被相続人がその存在を家族に知らせてから亡くなることが多いですが、被相続人の意思で内密にしていた場合や突然死された場合などでは、誰も遺言書の存在を知らないということもあります。

遺言書が見つかった場合には、開封せずに、家庭裁判所で検認を受けます。開封したことで遺言書を偽造できる可能性が出てきてしまいますので、相続人間での争いの原因になりかねません。

遺言書の取り扱いには充分な配慮が必要です。

2-4.相続人と相続財産の確認

相続人と相続財産が分からなければ遺産分割協議や、相続税の計算は進めることができません。

誰が遺産を相続するのか、相続財産は何があるのか、すべて漏れなく書き出します。もしここで漏れがあると、相続人間の争いの原因になるだけでなく、相続税申告の必要な場合には申告漏れとなる恐れが出てきます。

相続財産には預金や不動産などのプラス財産のほかに、住宅ローンや税金の未払い分などのマイナス財産も含まれます。

2-5.相続放棄・限定承認の判断

相続財産がプラス財産よりマイナス財産のほうが多いなどの状況では、相続人は相続することで借金を抱えてしまうことになります。

そこで相続では、相続人が相続方法を選択できるようになっており、必ずしも相続財産すべてを相続しなくても良いようになっています。
相続方法には次の3つがあります。

  • 単純承認
    プラス財産とマイナス財産のすべてを相続する通常の相続方法
  • 相続放棄
    プラス財産とマイナス財産のすべてを相続しない方法
  • 限定承認
    プラス財産とマイナス財産を相殺し、プラス財産が残った場合にはその部分を相続し、マイナス財産が残った場合にはその部分は相続しない方法

単純承認を選択する場合には特別な手続きをする必要はなく、申し出がない場合には単純承認であるとみなされます。

相続放棄と限定承認を選択する場合には、相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きを行う必要があります。間に合わなければ単純承認となる可能性があるので注意したいところです。

3.相続税申告期限までにやること

相続税の申告期限(死亡後10ヶ月)までに主にやることは申告関係です。

3-1.所得税準確定申告書の提出

被相続人が亡くなった年に申告すべき所得がある場合には、相続人が被相続人に代わって確定申告と納税を行わなくてはなりません。

この確定申告は「準確定申告」と呼ばれますが、内容は通常の所得税確定申告と同様です。

期限は死亡後4ヶ月となっており、通常の確定申告の期限(翌年2/1~3/15)とは異なります。

3-2.遺産分割の完了

遺産分割は次の方法で行われます。

  • 指定分割
    遺言による分割
  • 協議分割
    遺産分割協議による分割
  • 調停分割
    家庭裁判所での調停による分割
  • 審判分割
    裁判での遺産分割審判による分割

遺産分割協議を行った場合には、その証として遺産分割協議書を作成します。相続税申告や相続登記、預金の払い戻し時などの相続手続きで利用することになります。

3-3.相続税申告書の作成

相続財産が基礎控除を超える場合には、相続税申告を行う必要がありますので、確定した遺産分割の内容をもとにして申告書を作成していきます。
基礎控除以下の場合には申告不要です。

3-4.申告書の提出と納税

相続税の申告期限は死亡後10ヶ月です。それまでに相続税申告書を、被相続人の死亡当時の住所地を管轄する税務署に提出し、銀行などで相続税を支払います。

もし、遺産分割が終わらないなどの理由からどうしても期限に間に合いそうにない場合には、法定相続分でそれぞれ相続したものとした相続税申告書を作成して、期限内に申告と納税を済ませます。

遺産分割が完了したときに修正申告または更正の請求を行い、遺産分割に基づく相続税を納める(あるいは還付を受ける)ことで対応できる方法がありますので、詳しくは税理士にご相談ください。

4.その他

相続の効力等に関する民法の見直しによって「相続による権利の承継」に関して遺産分割によるものかどうかにかかわらず、法定相続分を超える部分については「登記、登録その他の対抗要件を備えなければ第三者に対抗することができない」(民法889条の2)とする規定が設けられました。したがって、不動産についても相続登記をしないと法定相続分を超える部分については第三者に対抗できないことになります。

また、遺留分侵害額の請求については、遺留分権利者は遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができることとなりました(民法1046条)。このため、遺留分義務者は、弁済すべき金銭の確保が必要になりました。相続した不動産を譲渡してその代金を弁済にあてることも想定され、遺留分義務者にはその譲渡に係る譲渡所得税が課されることになります。

5.相続手続きに困った時の相談先

5-1.相続争いが発生してしまった

遺産分割を巡って、相続人間で争いが起きてしまうことはよくあります。一度揉め出してしまうと、当人同士だけではなかなか解決の糸口が見つからないのが現実です。

このような場合には法律のプロである弁護士に相談されると良いでしょう。法律という中立の立場から解決へ導いてもらえます。

5-2.申告書の書き方が分からない

税務署や税理士に相談されると良いでしょう。

自分で申告すると決めている方は、税務署であれば無料で何回でも相談できますのでおすすめです。

5-3.納税するお金がない

納税資金の準備は税理士に相談されると良いでしょう。

生前であれば、生命保険などを利用して計画的な納税資金準備のアドバイスを受けることができます。
相続発生後の場合にはできることが限られますが、どうしても現金の準備が難しい場合には、物納や延納という選択肢もあります。

5-4.節税したい

節税についても税理士に相談されると良いでしょう。

相談された方にベストな節税計画を立ててもらうことができます。生前のできるだけ早いうちにご相談されると選択肢も多く、有利になります。

5-5.相続登記がわからない

法務局か司法書士に相談されると良いでしょう。

相続登記はそれほど難しいものではありませんので、法務局の無料相談窓口で確認しながら自分で十分行うことができます。
時間的余裕がない方などは、司法書士に依頼すると負担がありません。

相続コラムカテゴリー
お問い合わせ
ご相談・ご質問、お気軽にお問い合わせください。
お電話でのお問い合わせ
03-5302-2011
03-5302-2011
受付時間 9:00〜18:00(平日)
メールでのお問い合わせ
お問い合わせフォームへ