相続税の納税資金がない場合にはどうすればいい?

相続税は、相続開始から10ヶ月が納税期限です。相続後の慌ただしさや相続税対策にばかりについ目を向けてしまい、納税資金のことを忘れていらっしゃる人も少なくありません。

相続税は、遺された遺産によっては数千万円にもなるので、その納税資金の準備は一朝一夕ではいきません。

「納税資金がない!」と慌てないために、相続税の納税資金の準備は計画的に行っていただきたいと思います。

1. 相続開始前に納税資金を準備するには?

納税資金は相続が発生する前から準備することができます。ここでの計画的な準備が最も重要となります。

1-1. 相続税額の想定をする

発生する相続税額が分からなければ、納税資金もどのくらい用意したらよいのか分かりません。

相続税額は遺産総額から基礎控除を差し引き、それに相続税率を乗じて計算します。実際の相続税計算では基礎控除の他にも各種の控除や加算がありますが、あくまでも試算になりますので、そこまで考慮されなくても良いかと思います。

以下の事例の相続税の試算

  • 遺産総額:1億円4,800万円
  • 課税遺産総額:1億4,800万円 - 基礎控除4,800万円 = 1億円
  • 法定相続人:3人(妻、子2人)
    ※基礎控除額:3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円

各相続人の相続分

妻:1億円 × 1/2= 5,000万円
長女:1億円 × 1/4= 2,500万円
長男:1億円 × 1/4= 2,500万円

各相続人の相続税額

妻:5,000万円 ×20% -200万円(控除額)= 800万円
長女 :2,500万円×15%-50万円(控除額)= 325万円
長男: 2,500万円×15%-50万円(控除額)= 325万円

相続税の総額

800万円 + 325万円 + 325万円 = 1,450万円

相続税の速算表【平成27年1月1日以後の場合】

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

この例では1,450万円の相続税が発生します。誤差を含めて1,500万円程度の納税資金を準備されておくと良いかと思います。

時の経過とともに遺産総額や法定相続人の数は変わりますので、定期的に試算をしてください。

【出典】No.4155 相続税の税率|国税庁

1-2.相続開始前に相続税の納税資金を準備する方法

相続税額の想定ができたら、以下の方法を組み合わせて、納税資金を準備しましょう。

生前贈与の活用

将来の相続人へ生前贈与を行います。

暦年贈与では年間110万円まで贈与税がかかりませんので、毎年計画的に贈与を行うことで、将来の遺産総額が減り、相続税対策に繋がります。

生命保険への加入

将来の相続人を受取人とした生命保険に加入しておきます。その後、被保険者となっている被相続人が死亡しますと、死亡保険金が受取人に支払われます。

被相続人の口座は、死亡後に凍結されてしまい預金は使用できなくなります。しかし、死亡保険金であれば、受取人のお金としてすぐに使用することができ、数百万円、数千万円という受取金額が設定できますので、納税資金の準備には十分です。

「納税準備預金口座」の開設

多くの金融機関では、個人法人を問わず「納税準備預金口座」を開設することができます。

納税資金を準備するための口座で、一般的に利率が普通預金よりも高く設定されており、また利息にかかる所得税が非課税となっています。

原則として、払い出しは租税納付に限られていますので、無駄遣いをせずに貯めることができます。

2.相続開始後に足りないことがわかったら?

しっかり準備をしていても、相続税が想定外に多かったということもあり得ます。また想定外に早い相続で、納税資金準備を全く考えていなかったということもあると思います。

次に、「納税資金が足らない!」となってしまった場合のいざというときの対処方法について、ご紹介させていただきます。

2-1.金融機関からの借入・融資

「税金は金を借りてでも払え。」という言葉を聞かれたことはないでしょうか。

税金は期限を過ぎてしまうと、加算税や延滞税がかかってしまいます。これが非常に高率ですので、銀行へ利息を支払ってでも借入をして支払った方が良いということから言われています。

ただ納税目的での借入は審査が厳しいこと、担保が必要な場合には担保設定費用がかかってしまいます。

あとでご紹介させていただく、延納と比較されると良いかと思います。

2-2.相続財産の売却

相続財産を売却して現金化し、それを納税資金にします。

上場株式のように、すぐに現金化できるものを、優先的に売却されることをおすすめいたします。

早急に不動産の売却を望む場合には、売却金額が相場より低くなり得ることや、売却手続きに時間を要するため、相続開始から10ヶ月以内という納税期限に間に合わない可能性があることを考慮してください。

また、財産を売却して得た利益は譲渡所得となり、所得税がかかります。これは相続した財産を売却した時も同様です。

ただし、相続財産の場合には、所得税負担を軽減するための特例が各種設けられていますので、要件に該当する場合には適用を受けられると良いかと思います。

代表的な特例として、取得費加算の特例があります。

これは相続により取得した財産を相続発生日から310ヶ月以内に売却した場合には、納めた相続税額のうち一定額を取得費に加算することができる制度になります。

売却する財産の選択、売却した後の所得税対策が重要になる準備方法です。

【関連記事】相続財産を譲渡した場合の取得費の特例(取得費加算の特例)とは

2-3.延納する

税金は現金一括納付が原則となっていますが、次に該当する場合には相続税を分割で納付することができます。

  • 現金一括納付ができない理由があること
  • 相続税額が10万円超
  • 担保を提供すること
  • 延納申請書を提出し、許可を得ること

また、延納には利息の代わりとして延納利子税がかかります。

税率は原則では年7.3%となっていますが、超低金利時代が続いている日本の状況が反映され、特例基準割合を用いた計算方法が設けられています。

申請時点での利率を税務署にご確認いただき、銀行から借り入れをした場合と比較されると良いかと思います。

2-4.物納する

物納とは相続税を物(財産)で納付する方法で、延納によっても納付が難しい場合に認められます。

物納にあてる財産の相続税評価額により納付することになりますので、実際の市場価値よりも低くなる可能性があります。

物納しようとしている財産を売却する方法と比較検討されると良いかと思います。

物納について詳しくは、こちらをご覧ください。

【関連記事】相続税の物納を有効に活用するために知っておくべきこと

まとめ

納税資金の準備は、相続税対策と並行して行っていかなければなりません。「あ!足らない!」ということになりますと、銀行利息や延納利子税など余分な費用や、心労が発生してしまいますので、できる限り避けたいところです。

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