相続税の節税方法|不動産や生命保険、贈与を効果的に活用する!

相続税は、被相続人が生涯をかけて築かれてきた相続財産に課せられますが、場合によっては数千万円にもなり、多額の現金を国に納めることになります。

しかし、相続税は節税しやすい税金でもあります。計画的に有効な手段を取れば、数百万円、数千万単位の節税ができ、場合によっては相続税がかからなくすることもできます。

今回は、相続税の節税方法について代表的なものをご紹介いたします。

1.生前贈与を使った相続税の節税方法

生前贈与とは、生前に贈与を行っておくことで将来の相続財産を減らし、相続税を節税する方法です。

相続税対策の中で最も行いやすい方法ですので、多くの人が実行されています。

1-1.暦年贈与

一言に「生前贈与」や「贈与」とあらわされる場合には、一般的にこの暦年贈与を指しています。

暦年贈与とは、毎年11日から1231日までの間に行われた贈与額の合計から、基礎控除110万円を差し引いた残額に対して贈与税が課せられる贈与の方法です。

毎年110万円までの贈与であれば、無税で財産を譲り渡すことができますので、死亡する何年も前から計画的に繰り返すことで、相続財産を減らすことができます。

110万円は受贈者(財産を譲り受ける人)それぞれにありますので、例えば子供3人に毎年110万円ずつ贈与すると10年で3,300万円にもなります。

【関連記事】贈与税とは?|どんな時にかかる?非課税枠は?わかりやすく解説

留意すべきポイント

相続開始前3年以内の贈与については生前贈与加算の対象となりますので、相続財産に含めなくてはなりません。節税のために行ったその3年間の贈与はなかったものとなってしまいます。

また、毎年同じ金額の贈与を続けていた場合に、その合計額を最初から贈与するつもりだったとして税務署に否認されてしまいますと、その合計額を一括で贈与したものとして贈与税が課せられてしまいます。

贈与税契約書の作成と、毎年の贈与額を少しずつずらしておくと良いかと思います。

1-2.相続時精算課税制度

もう1つの贈与の方法に相続時精算課税制度があります。

相続時精算課税制度とは、60歳以上の親や祖父母から20歳以上の子や孫に対しての贈与で適用を受けるか選択できる制度で、2,500万円の非課税枠があります。

毎年110万円の基礎控除がある暦年贈与とは異なり、累計で2,500万円となります。

 なお、相続時精算課税制度について、詳しくは、次の記事をご参照ください。

【関連記事】相続時精算課税制度とは?|その仕組みメリット・デメリットについて

留意すべきポイント

相続時精算課税制度は、その贈与にかかる贈与税はいったん見送り、すべてを相続時に精算して課税する制度です。

贈与税の先送り制度ですので、将来相続税がかからない人にとっては大きなメリットがありますが、相続税の対象となる場合には節税効果を試算して選択する必要があります。

また、相続時精算課税制度を一度選択してしまうと、暦年贈与は行えなくなります

1-3.住宅取得等資金の贈与の特例

2017年(平成29年)11日から2021年(令和3年)1231日までの間に、父母や祖父母などの直系血族から20歳以上の子や孫へ、マイホームの新築、取得、増改築等に充てるための資金を贈与する場合には、最大3,000万円まで贈与税がかかりません。

ただし、非課税となる金額は次の通り、住宅の契約締結日や種類によって大きく異なります。

イ.下記ロ.以外の場合

住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅
~平成27年12月31日 1,500万円 1,000万円
平成28年1月1日~令和2年3月31日 1,200万円 700万円
令和2年4月1日~令和3年3月31日 1,000万円 500万円
令和3年4月1日~令和3年12月31日 800万円 300万円

ロ.住宅用の家屋の新築等に係る対価等の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合

住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅
平成31年4月1日~令和2年3月31日 3,000万円 2,500万円
令和2年4月1日~令和3年3月31日 1,500万円 1,000万円
令和3年4月1日~令和3年12月31日 1,200万円 700万円

【出典】No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|国税庁

1-4.教育資金の一括贈与・結婚子育て資金の一括贈与

教育資金の一括贈与とは、2021年(令和3年)331日までに、父母や祖父母などの直系血族が30歳未満の子や孫へ、教育資金を一括して贈与する場合には、最大1,500万円まで贈与税がかからない制度です。

結婚子育て資金の一括贈与の仕組みも、基本的には教育資金の一括贈与と同様になります。

20歳以上50歳未満の子や孫へ、結婚や子育てに関する資金を一括して贈与する場合には、最大1,000万円(結婚資金については300万円)まで贈与税かからない制度です。

なお、住宅取得等資金の贈与の特例、教育資金の一括贈与、結婚子育て資金の一括贈与については、次の関連記事も是非お読みください。

【関連記事】子供が相続人のときの相続税と相続税対策

1-5.贈与税の配偶者控除

通称、「おしどり贈与の特例」と呼ばれている制度で、婚姻期間が20年以上の夫婦間で自宅または自宅を購入するための資金の贈与があった場合には、最大2,000万円まで贈与税がかからない制度です。

2. 保険を使った相続税の節税方法

生命保険を使った相続税対策は、節税効果が大きいのに対してリスクは小さく、また納税資金の準備も併せて行うことができます。

2-1.生命保険の非課税枠の活用

相続財産となる死亡保険金には、法定相続人1人当たり500万円の非課税枠が設けられていますので、例えば、法定相続人が4人の場合には2,000万円まで相続税がかかりません。

また死亡保険金は、大きな現金を一度に手に入れることができますので、納税資金の準備としても非常に有効です。

留意すべきポイント

確実に死亡保険金が出るように終身保険に加入してください。

また、あまり高齢になると保険自体に加入できない可能性も出てきますので、できるだけ早く計画されたほうが良いと思います。

2-2.若年者には生命保険として贈与

受贈者がまだ若年者などで大きな現金を持たせることが心配な場合には、生前贈与した現金で、契約者と保険金受取人を受贈者、被保険者を贈与者とする生命保険金に加入する方法もあります。

現金を生前贈与しても受贈者の手元にはないため無駄遣いを防止することができ、かつ、受贈者が死亡した場合には死亡保険金となって受贈者へ戻ってきます。

留意すべきポイント

受贈者が自分のお金で契約している生命保険になりますので、死亡保険金には所得税が課されることになります。

【関連記事】生命保険に相続税はかかる?相続税がかかるケースと計算方法

3. 不動産を使った相続税の節税方法

生前贈与や生命保険に比べてハードルは大きく上がりますが、節税効果は絶大です。

相続財産が何億もある方向けの方法になります。

3-1.賃貸不動産の建築・購入

土地の評価額は公示価格の78割程度、建物は時価の5割程度になりますので、単純に1億円の現金を持っているよりも、不動産に替えた方が相続財産の金額を大きく下げることができます。

またその不動産を賃貸マンションやアパートにした場合には、その評価に借地権割合、借家権割合、賃貸割合が考慮されますので、更に評価額は下がります。

留意すべきポイント

賃貸物件は新しいうちは好まれますが、経年劣化とともに空室率が上がっていくのが通常です。また修繕費等の経費も増大していきます。

相続税は節税できたけれども、結果的には支出の方が超えていたということにならないように、長期的な計画が非常に重要になります。

3-2.タワーマンションの購入

「タワマン節税」という言葉を聞かれたことはないでしょうか。2015年の相続税の大改正とタワーマンションブームにより、富裕層のタワマン節税は定番となりました。

タワーマンションは通常のマンションよりも土地の共有者が多く、1部屋の評価額に占める割合が低くなります。また、相続税評価額は1階も50階でも評価額は同じですが、時価は雲泥の差となります。

タワーマンションは実際の価値と相続税を計算するうえでの価値に大きな開きがあるため、単に戸建てや通常のマンションを購入するよりも相続税対策の効果が大きくなります。

留意すべきポイント

不動産には時価があります。特にタワーマンションは高額なため下落幅が大きく、相続税の節税分を超える価値の下落も十分にあり得ます

3-3.単身者用マンションの購入

独身貴族や単身赴任者用のワンルームや1LDKマンションは比較的需要が安定していますので、賃貸用として相続を迎え、相続後にすぐ売却するという方法も選択しやすいです。

1棟ではなく分譲マンションの1室を購入する形にすると、何かと対応がとりやすいかと思います。

【関連記事】マンションの相続税評価額の計算方法と節税対策について

留意すべきポイント

仕事をしている人向けのマンションですので、立地や利便性が非常に重要です。

3-4.小規模宅地等の特例の有効活用

小規模宅地等の特例は、土地の評価額を最大で8割減額できる制度で大きな節税効果があります。例えば、自用地として評価額が5,000万円の土地に8割減額が適用されると、その評価額は1,000万円になるのです。

実際に相続が始まってみると適用要件に該当していないことが分かったとなると、相続税は想定よりも大幅に増えてしまいます。適用要件を生前にしっかり確認し、該当していない場合には適用対象となるように対策を取るようにします。

例えば、小規模宅地等の特例には適用できる限度面積がありますので、限度面積内で高額な土地ほど効果が大きくなります。田舎の広い土地に住まれている場合には、都会に引っ越してくるというのも方法の1つです。

【関連記事】土地の相続税対策に欠かせない小規模宅地等の特例とは?

4.その他の相続税節税方法

上記よりも節税効果は小さくなりますが、その他にも次のような節税方法があります。

4-1.養子縁組を利用した節税方法

相続税では、基礎控除額、生命保険金や死亡退職金の非課税枠など法定相続人の数に比例して金額が大きくなる計算があります。

基礎控除=3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

生命保険金・死亡退職金の非課税枠 = 500万円 × 法定相続人の数

法定相続人が少ない場合には、養子縁組をすることで非課税枠を増やすことができます。

ただし、相続税法上では法定相続人の数に組み込める養子の数は実子がいる場合には1人、実子がいない場合には2人が限度と定められています。

4-2.生前にお墓・仏壇の購入をしておく

「墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物」には相続税がかからないと国税庁のホームページに明記されています。

購入しても相続財産とはなりませんので、生前に購入して現金を使っておくことで、その分相続財産を減らすことができ、相続税の節税に繋がります。

留意すべきポイント

仏具であっても金でできているなど、明らかに骨董価値があるものについては相続財産として課税されます。

4-3.盛大な葬式を行う

葬式費用は債務控除として相続財産から差し引くことができますので、大規模なお葬式になるほど相続財産を減らせることになります。

留意すべきポイント

債務控除は相続財産から差し引く金額ですので、相続税を直接減らす金額ではありません

単に節税目的だけで多額の葬式費用を使ってしまうと、相続税を支払ったほうが失う現金自体は少なくなります。

5.相続税節税を成功させるポイント

最後に、相続税の節税方法とは少し違いますが、相続税対策を成功させる1番大切なポイントをご紹介します。

相続税が得意な税理士に依頼することです。相続税の実務経験は税理士によって様々で、年間で申告が1件あるかどうかの税理士と、年間数十件の申告をこなしている税理士とでは節税知識に大差があります。

生涯をかけて築き上げてきた財産は、優秀な税理士と共に守られてください。

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