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事業承継[事例: 14]

会社の借入金が6000万円ある

相続人に関すること

父Aは飲食店に卸すテーブルや棚の製造を行っている社員8人ほどの会社Xの代表取締役です。会社を興してから35年が経ちそろそろ後継者にバトンを渡したいと考えています。幸いAには長男C、次男Dがおり、会社を手伝ってくれています。しかし今まで経営のことはすべてAがやり、経理は母Bが行っていました。

相続時の状況

長男Cは営業担当、次男D製造部門をまとめていてくれています。それぞれに役員にはなっていますが、株式は持っていません。X社の資本金1000万円、売上高は1.5億円、純資産は2000万円です。


また、Aの相続財産はX社の株式1000株(100%所有)と自宅5000万円、金融資産3000万円です。長男C、次男D共に家庭を持ち独立してやっています。

相談者Aの質問

父Aからの質問です。70歳になりそろそろ会社を承継する時期だと思います。今のところ健康面での心配はありませんが体力は以前に比べると落ちてきています。できれば長男Cに会社を承継してほしいと思っています。次男Dもよくやってくれているので二人で力を合わせ、会社を盛り立ててくれればと思います。事業を承継するにあたっての注意点など教えていただければと思います。

問題点の抽出提案

事業承継を考えるにあたって2人も頼もしい息子さんがいらっしゃるのは素晴らしいことです。後継候補が見つからずに廃業に追い込まれる会社も少なくないですから恵まれた条件にあるといっていいと思います。しかし、事業承継は候補者だけでは成り立ちません。何といっても後継者に会社を承継していく強い気持ちが必要です。そのためにはX社の環境整備を行って後継者が後継しやすい会社を作る必要があります。会社の財務内容、経営状況を洗いなおして会社をブラッシュアップすることが必要になってきますとの説明を行いました。

① 長男Cに事業を承継する後継者として自覚を促すところから始めなくてはなりません。もちろん、母B、次男Dにも了解が必要です。長男は現在営業に専念しており、経営のことはA任せであるとすると、経営者としての知識、経験の習得には数年の時間を要するのではないかと思います。後継者計画を立ててじっくり教育する必要があります。

② 一方、X社のブラッシュアップですが、各種規定の整備から始まって将来ビジョンの作成、経営計画の整備、収益性の改善、社員の意識改革等が必要になってきます。

③ 中でも、X社の財務内容を見ると借入金6000万円が気にかかります。年間の借入返済額は300万円程度ですので、このペースで行くと20年以上の返済期間を要します。また、資金に不足があるとさらに借り入れをして補うという状態です。Aが社長の時には金融機関も応じてくれたかもしれませんが事業承継となると金融機関の見方も変わってきます。

④ また長男の立場になってみれば6000万円もの借入金を背負うことに二の足を踏むかもしれません。また、それを承知したとしてもX社の収益構造自体に問題があるなら、さらに借入金を増やすことにもなりかねません。

⑤ X社はこの借入依存体質から抜け出さなくてはなりません。借入金が減少できなければ、会社を承継することができないと考えた方がいいでしょう。厳しい言い方になりますが、借入金返済のための経営を続けなければならず、最後は倒産になってしまいます。子供たちは6000万円もの借入金を背負うぐらいなら会社を潰したほうがいいと思うかもしれません。X社の収益性が改善しなければ、Aの個人資産である金融資産3000万円を会社に入れるといった荒療治が必要かもしれません。

⑥ そうならないように収益力のある会社に生まれ変わることが必要です。そのことが事業承継の前提条件になると思われます。

解決できた事項

① 事業承継を実現させるには大変厳しいハードルを乗り越える必要があります。役員を変わる、株式を譲渡するということでは足りません。財務改善は会社そのものを改善しなくてはできないからです。財務力ある会社なら子供たちも快く引き継いでくれるでしょう。A社長がその意識を持ってくれたなら幸いです。

② A社長の事業承継はもっと早く60歳ごろから計画すべきだったと思います。長男Cも55歳になっているため引継ぎが実現するのは60歳ごろになってしまい遅すぎる感が拭えません。

③ 経営計画をたて、毎月、経営会議を行うことになりました。社長A、長男C、次男Dに参加してもらい会社改善のための計画と実施状況を見ていきます。月次決算書を見ながら経営改善努力をしていく予定です。

解決事例カテゴリー
相続税申告事業承継遺言不動産対策家族信託相続トラブル
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