不動産対策

1.相続における不動産対策

私たちがご相談いただく案件では財産と言うと現預金、不動産、そして有価証券が中心です。なかでも不動産は自宅、アパートがあるということでその比重は大きなものになります。事実、平成28年の国税庁の統計でも、相続財産のなかで不動産価格の占める割合が最も高く43%、次いで預貯金が31%となっています。相続財産の半分近くが不動産となっていますので不動産対策が重視されるのはうなずけるところです。

不動産の特徴は何といっても個別性です。不動産はどの不動産も同じものはなく、その特性によって利用価値が異なります。また、時点によって、都市計画によって、開発等によって不動産価格は大きく影響を受けます。さらに不動産の価格は決まった価格というものがありません。売買、相続、贈与それぞれの局面によって価格が異なってきます。そして不動産を動かそうとすると多額の資金の移動を伴うとともに登記手続きや譲渡所得税、贈与税等の問題が発生します。

このような不動産はその特徴から大変扱いにくいものとなっています。不動産対策をお考えの場合はまずは専門家に相談されることをお勧めします。後から「多額の税金が・・」というようなことがないよう注意が必要です。

<実例>

「結婚20年以上の夫婦間で居住用不動産を贈与すると2,000万円まで非課税である」とする「贈与時の配偶者控除」という制度があります。Aさん(80歳)がこの制度を利用して奥様に居住用不動産の一部を贈与しました。2,000万円も非課税になるという点に魅力を感じたのです。ところが不動産の登記で40万円もの登録免許税がかかりました。さらに後日不動産取得税30万円の通知が来てびっくりです。司法書士に登記手続費用も支払ったし「こんなことなら贈与しなければよかった」

事実、贈与せずに相続まで待てば8万円の登録免許税だけで済んだかもしれません。他の要因もあったと思いますので一概には言えませんが、部分だけでなく全体把握が必要な場合があります。

2.不動産の相続税評価額

相続を考える時、ざっくりと財産額がいくらなのかを知ることはとても役に立ちます。現預金と上場株式であれば、預金通帳や株価欄でその価格を知ることは容易であろうと思います。わかりにくいのは不動産です。

家屋の評価額はとても簡単で、固定資産税評価額がそのまま家屋の価格です。貸家、アパートの場合は借家権を控除したりしますが、ざっくり知るという趣旨でご理解ください。固定資産税評価額は毎年5月ごろに市区町村から届く固定資産税の通知書に記載されています。

次に宅地(家屋の建てられる土地)の評価です。宅地の評価は国税庁が毎年発表している路線価(道路に付された㎡当たりの価格)に面積を掛けたものです。

P土地・・路線価30万円/㎡の道路付100㎡の土地・・その評価額は 30万円/㎡ × 100㎡ = 3,000万円となります。

土地の評価についても、相続税の財産評価通達に細かい取りきめがたくさんありますが、ここでは自宅の評価をざっくり見るということでご理解ください。路線価は国税庁のホームページの「路線価図」からはいると全国の路線価をみることができます。また、地域によっては倍率方式と言って固定資産税評価額の何倍という方法による評価方法もあります。

自宅の路線価を路線価図から探して自宅を評価してみてください。思っていた価格と随分開きがあるかもしれません。路線価は相続や贈与の場合の評価額算定に用いるので、公示価格(時価に近い取引事例等から算出)×80%とされています。固定資産税評価額は公示価格×70%が目安です。

3.小規模宅地特例について

多くの方が気にされるのが「被相続人等の居住の用に供していた宅地の小規模宅地特例」です。居住用宅地については330㎡まで評価額の80%減額ができる制度です。

上記のP土地が被相続人の居住用宅地として小規模宅地特例の適用があるとすると、土地の評価は 3,000万円 × (1-80%) = 600万円 となり大幅に減少します。2,400万円もの減額ができますので相続税額への影響はとても大きいものです。

自宅不動産をお持ちの場合にはこの制度の適用は見逃せません。適用に当たっては相続税の申告が要件とされています。また、面積制限以外にも居住要件、取得者の要件、保有継続要件など他の要件も具備しなければなりませんので慎重な取り扱いが必要です。

また、息子家族が父の自宅敷地内に自宅を建ててもらい住んでいるという例が多くありますが、平成32年4月以降は相続開始前3年以内に日本国内にある取得者、取得者の配偶者、取得者の三親等内の親族が所有する家屋に居住したことがないことという要件が加えられました。

この結果、息子が相続開始前3年以内に父の所有する土地の上に建つ父所有の家屋に住んでいる場合にはB土地について小規模宅地特例の適用はありません。税制改正にも注意が必要です。

このようにして現預金、有価証券、と同時に不動産の評価がわかれば相続財産の90%はつかめたといえるのではないでしょうか。財産がつかめれば分割や納税額も予測でき今後の対策に活かせるはずです。

4.借入をしてマンションを購入

不動産による対策として借入金をしてマンションを買うのが効果的だという指摘があります。アパート経営についても同様の仕組みです。

マンションの購入価格と相続税評価額の差額を利用して相続税の節税を図るというものです。

  1. 1億円の借入をしてマンションを購入
  2. マンションの相続税評価額が6,000万円とすると、借入金1億円を引いて▲4,000万円の財産減らしが可能となる。
  3. この結果、相続税額の節税につながる

 

アパート経営だけでなく、マンションでも借入金返済のために賃貸が加わる場合があります。不動産所得の計算等も出てくるのでもう少し複雑です。

さて、この節税方法の評価です。

このプランで確実なのは借入金を返済することです。借入金の返済が家賃収入を下回ると持ち出しになりかねません。管理諸費用、所得税、固定資産税等も考慮しなくてはなりません。相続時には図のような節税効果が生まれますが相続はいつ発生するかわかりません。節税効果とリスクを比較して資金的にも十分な余裕があり、その他の不測の事態(空室、地震など)にも対応できる場合に適応すると思います。

5.事前のシミュレーションを

不動産対策はそれぞれの事情によって多岐にわたります

  • 新規購入による対策・・・マンション購入・アパート建築・自宅建替え
  • 売却による対策・・・・・不動産の売却・交換買換・共有地の分割・家族信託・空き家売却
  • 保有の場合の対策・・・・小規模宅地特例・不動産の分割と評価・相続時精算課税・法人活用
  • 贈与による対策・・・・・居住用不動産の配偶者への贈与・住宅資金贈与

不動産対策は大きな金額が動くことが多いので事前のしっかりしたシミュレーション、適用要件確認、登記確認等を行うことです。

<実例>

Bさんは10年前に父から土地を相続しました。その土地は父が1億円で購入したものです。地方のため土地価格の値下がりもあり8,000万円で売却しました。少し損をしたけれど税金はかからないし仕方ないと思っていました。ところが、申告時期に税理士に相談すると1億円で買った土地の取得価額は3,000万円であるというのです。この土地は20年前に父が1億円で買った土地であるのは間違いないが、買換特例を適用して買ったものであり、20年前に行った買換特例対象譲渡資産の取得価額は3,000万円であるのでその価格を今回の譲渡に用いる必要があるとのことです。Bさんには何のことか全くわかりません。税務署に確認しましたが同様の答えで、結果として譲渡利益5,000万円(8,000万円―3,000万円)に対して譲渡所得税を支払うことになりました。

6.無料相談をご利用ください

当事務所では、相続、譲渡、家族信託等に関する初回無料のご相談をお受けしております。この無料相談を受けられた皆様から「役に立った」と感謝の言葉をいただきます。私たちも皆様のお役に立てることはこの上ない歓びです。きっと、お役に立てるアドバイスを行うことができると思います。お気軽にお電話をいただければと思います。

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