家族信託

1.このような悩みを抱えていませんか?

母が介護施設に入ったため実家が空き家になりました。空き家のままでは不安なので売却したいと考えていますが、母名義のため契約を結べるかどうか心配です。また、母の預金の引き出しなどもできないので困っています。いい方法はないでしょうか?

相続のお話をお伺いする中で、最近は介護の問題で悩まれている方が特に増えています。どのご家庭でも両親の介護のために多くの労力と時間そして費用が発生していて、肉体的、精神的な負担は計り知れません。身上監護の部分は専門家の方にお任せするとして、経済的な側面を私たちがサポートできたらと強く思うところです。

具体的には要介護者の財産、預金等を適切に運用したり処分したりすることができれば、ご家族の負担も幾分は減少するのではないか。冒頭の事例であれば、必要に応じて母の預金の引き出すこと、実家の売却を家族が変わって行えること、その売却代金の税金申告ができること、施設の毎月の諸費用が支払えることなどです。

経済的な負担が減少することは家族にとって大きなメリットです。家族の経済力で要介護状態の父母のサポートをすることはかなりの負担でしょうし、父母の財産を活かすことが本来の活かし方でしょう。介護に必要な諸費用を賄う共にその他の必要費用を(きちんとした制約の中で)自由に使用できれば、そしてさらに相続対策、納税資金対策、遺産分割対策などに用いることができれば、ご家族の将来を見据えた計画も可能となってきます。

成年後見という制度があります。被後見人の財産を守っていく制度ですが、裁判所の監督下にあり財産を減らすことも有効活用をすることも、ほぼ「NO!」とされてしまいます。ご家族は資産の有効活用を望んでいます。財産を活かして使い有効活用することができる制度が必要とされています。

2.家族信託とは

家族信託(自益信託)は委託者(財産を所有する人)が受託者(財産の管理、処分を託された人)に財産を託して運用してもらい、その収益を受益者(その利益を享受する人)に還元する仕組みです。

<例えば>

アパートを所有しているAさんは高齢のため判断ができにくくなっているために息子のBさんを受託者としてアパート不動産一式を信託しました。Aさんは委託者&受益者です。アパートからの家賃収入は受益者であるAさんに入ります。息子のBさんは、毎月の家賃収入の管理、入居契約、更新契約、修繕維持管理、Aさんへの家賃収入の送金などすべてをこなします。この結果、アパートは適正に維持管理が行われ入居者も安心して居住ができています。

家族信託というと、難しいことのようですが、父が子に「アパート管理頼むよ」それに応じた子が父に「わかった。やっておくよ」という約束です。もちろん、公正証書にした信託契約を結び、不動産の所有権は受託者に移り、不動産登記簿に信託財産である旨が記載されるなどの法的手続きは行われますが、根本は父が子にアパートを託すという信頼関係です。

3.「認知症対策」に大きな力を発揮する家族信託

家族信託は父母が高齢で判断能力が劣った場合のいわゆる「認知症対策」に大きな力を発揮します。認知症になってしまうと意思能力の欠如ということで契約を結ぶことができません。契約が結べなければ、預金の引き出しから始まって賃貸借契約、修繕のための委託契約、売買契約などの法律行為ができなくなってしまいます。

そのために、託された受託者が契約者となって認知症リスクのある委託者のために契約行為を行っていきます。委託者は信頼できる受託者に任せればいいのです。信託法には「受託者は、信託財産に属する財産の管理又は処分及びその他の信託の目的の達成のために必要な行為をする権限を有する」とあります。「信託の目的」を満たすよう受託者に自由で広範な権限を与えています。

このように受託者に大きな権限を与える制度であるからこそ、委託者も安心して財産を任せることができます。受託者に様々な制約が課されたら自由な行動はできなくなってしまい委託者の利益になりません。家族信託は成年後見制度と違い信頼を基盤として成り立っている制度です。その信頼の基盤を尊重するからこそ大きな役割を果すことができます。

このような家族信託の制度は認知症対策に非常に良くなじみます。ある一定の年齢になったら信頼できる受託者と信託契約を結んで財産を託し、そこから生じる利益を享受した生活を選択することができます。自身の健康状態を見ながら面倒な契約等の事務手続きをすることなく安心した生活を送れるのではないでしょうか。信託銀行等の高額な信託報酬を負担することなく、家族で契約する家族信託は認知症リスクのある方々への朗報だと思います。

4.家族信託の手順

私たちは家族信託を相続対策の一手段としてとらえています。各ご家庭の事情に適した対策をとることが大事です。まずは相続財産、家族構成、生活環境等を伺うところから始めます。

家族信託の流れ

  1. 家族構成・相続財産・相談会
  2. 家族信託の設計を行います
  3. 税務上のリスクの回避
  4. ご家族の方々へのご説明
  5. 信託契約書の作成
  6. 公正証書の作成
  7. 信託口口座の開設
  8. 信託財産の移管
  9. 信託契約時の受益者別調書
  10. 毎年の信託の計算書
  11. 委託者の所得税確定申告

 

家族信託をしたという方は非常に少ないと思います。最近はテレビ塔でも紹介されだんだん親しまれてきましたが、その内容まではご存じないと思います。ですので、まずはご相談いただいてからということになります。家族信託がいのか、他の方法が必要なのかご一緒に考え相談させていただければと思います。

家族信託を検討してみたいとなりましたら、どのような信託契約を結ぶのが適切か検討したうえで家族信託の設計をいたします。委託者、受託者、受益者、受託者の責任、信託財産、信託の変更、終了、信託財産の帰属、諸費用見積等々です。その上で、ご家族の方々へのご説明をいたします。ご家族に知らされない信託契約は何かと誤解を受けやすいものです。特に信託財産が受託者の名義に変更されますので誤解がないようご説明して納得していただくことが重要です。

ご家族のご理解が得られれば、その後の「家族信託の流れ」5~11は事務手続き上の手順になりますが、受託者は信託契約後が本番ということになります。

アパートが信託財産である場合、受託者が信託契約後には契約当事者となりますので受託者には多くの業務が課されます。一部をリストアップしてみます。

  • 賃借人への賃貸人変更通知
  • 家賃振込口座変更のお知らせ
  • 火災保険の名義変更・加入
  • 固定資産税、管理費の引落口座の変更
  • 必要な借入契約
  • 信託財産の保守・修繕・改良・取り壊し・改築等
  • 必要な登記手続き
  • 善管注意義務
  • 個人財産と信託財産の分別管理
  • 帳簿等の作成
  • 信託財産に事故があった場合などの受託者の無限責任

5.家族信託と相続対策

家族信託は節税に直結するわけではありません。自益信託(委託者=受益者)の場合利益を得るのは委託者本人ですので所得は発生しません。受益者に不動産名義は移りますが真の所有者は委託者です。しかし、家族信託が相続対策に役立たないわけではありません。

  • 受益者を連続させる信託契約を設計できます
  • 受託者に信託財産を帰属させ遺贈の代用をすることができます
  • 共有状態にある不動産につき共有者の一人を受託者として管理させ意思決定を容易にさせることができます

6.家族信託コンサルティング費用

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